<   2007年 12月 ( 43 )   > この月の画像一覧
西野 安香 ○○○○

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清水寺のように斜面に建つ建築は、基本的には自然の斜面を人工的に水平面に矯正し、その上に構築されている。建築物は基本的に水平と鉛直の要素によって作られているが、今回は、自然の造形に沿って傾くという要素も考え、それらの組み合わせから新しい斜面建築の可能性をスタディし、実際の建築計画への応用を試みた。

古谷:前から言っていることだが、エスキスとはいえ表現のクオリティが必要で、この模型は人に何かを伝えようとする誠実さが感じられる。また、たくさんのスタディだけで終わらせず、それをディベロップしたというのが良い。いくつかのスタディで見られる、ひょうきんに飛び出た黒い部分の感じに本人は面白さを感じているとのことだが、このような皮膜で包みこんでしまったことでそれが消えてしまっているのではないか。現在のこのデザインが変だというつもりは無いが、本人が感じたというその面白みというのはこの形では表現しきれていない。
萩原:コンセプトワークの段階は良いのだが、最終形でのラッピングの形の根拠が稀薄。斜面の茶色がめくりとられて発生した形という深読みもできるが、自由な皮膜がどういう発生のしかたをしているのか、もう少しそこを考えて欲しかった。
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by enshu07 | 2007-12-27 22:41 | 第5課題
李 恵利 ○○○
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ショートケーキの断面から建築が作れないかと思った。
ショートケーキは外観からは内部の階層を察知することができないという点から、それを地形と建築の関係に当てはめ、建築物を垂直に建ち上げたときには床が傾いて見え、建築物を斜面に傾いて設置してはじめて床が水平なものとして使えるという住宅を考えた。また、ショートケーキでいうイチゴに相当する部分が球体の部屋となって、層をまたぐように設置されている。

古谷:前回、谷川俊太郎の別荘(設計:篠原一男)を見てみるとよいと言ったが、普通なら鉛直水平にたつはずの建築物が、斜面とせめぎあい、どちらに合わせるかという葛藤の中に斜面建築の面白みは生まれるはず。今回の案では、イチゴがその役割を果たせるのではないか。球体の部屋は周りのスラブの角度の干渉を受けないので、それがヒンジのような役割を果たしてそのせめぎ合いをどうにか解決できたのでは。
萩原:斜面の上と下、空中と地面で建築と斜面の関係がまったく違うんだと言っても良かった。また、ヒンジのようなイチゴ部屋が建築のコーナー部分で出てくるなどの操作を行っても良かった。今のままでは建築の外観が箱として見えすぎてしまって斜面との関わりがあまり感じられない。
さらに、斜面とスラブという両方の角度が出てきた空間を活かしきれていないように思う。斜面のラインが建築内部でも感じられるような空間を作ってみたら良かった。
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by enshu07 | 2007-12-27 22:40 | 第5課題
岩田 英里 ○○○

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前回の中間エスキスでは谷口吉生のMoMAを取り上げ、あれが断面の建築であるという分析を行った。今回は、そこから着想を得て、断面を感じるような建築模型を作った。断面というのは、切断されていながらも、離れている2つの関係が連続して見えるときにはじめて現れてくるものである。それを感じさせるように連続感のある渦巻き上の平面プランを斜めに切断し、断面的な建築を建ち上げた。この2つに分かれた棟の間では目線が交わされ、アクティビティの面からも連続性を感じさせるようになっている。

古谷:これは今回の課題を巧妙にずらして解釈されている。断面「図」的な断面を考えてきたのではなく、「切」断面というものを考えてきている。前回、平面図は論理的に頭の中で再構成することで初めて感じられ、断面は直感的に感じることができると言ったが、この模型の断面は平面でも解釈しないと分からないものになっている。それが面白い。しかしそれを本人が意識的にやっていないのではないか。この建築を体験するものがいかにそれを感じることができるか…。例えば今は壁を全て同じ高さで建ち上げてしまっているが、上部が斜めに切られたように壁の高さに変化がついていれば良かったのかもしれない。
萩原:断面という言葉の意味を問うという域に到達しようとしているが、それを模型で表現しきれていない。
藤井:おそらく壁の厚みに変化を付けることで繋がりを出そうとしてるのであろうが、内部空間が見えないだけに想像しにくい。
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by enshu07 | 2007-12-27 22:38 | 第5課題
小林 玲子 ○○○
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京都駅は、X軸Z軸の両方の断面が交錯して成立している空間だと思う。それは大スケールで見てみて初めて魅力的に感じられる空間だと思うが、それを住宅スケールに落としてみて、小さなスケールで見てもその魅力を復元できないかと考え、この住宅をつくった。

古谷:ドーモ・セラカント(設計:象設計集団)という住宅を見てみると良い。それは魚のような形をした斜面に建つ住宅なのだが、地形があって、建築があって、ひとつの空間を移動するのに平面的にも断面的にも移動することになるところが非常に参考になると思う。あれは面白い住宅。
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by enshu07 | 2007-12-27 22:37 | 第5課題
小澤 賢人 ○○△

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サヴォア邸の平面を断面に置き換えてみた。平面図は奥行きが地面までしかないが、断面図というのは見える所まで奥行きがある。平面を断面として立ち上げ、床面を抜いて奥行きを持たせることで何か面白い空間ができると思った。

萩原:サヴォア邸で一番特徴的な、あのスロープはどこにいったのか。
小澤:単純に図として解釈するためにはずした。
萩原:平面から断面に変換する際に、そういう重要な空間性を排除したのはいまいち。あのスロープが、奥行きを表現するエレメントになったのではないか。
実は、コルビジェの初期スケッチでは、サヴォア邸は斜面に建つ建築で、斜面にキューブがつっこんだ形で描かれている。コルビジェはモータリゼーションの到来を受けて、車でそのまま住宅内部に乗り入れるという形式を考えていた。そういう生成プロセスを知っておくと、より深い考察が出来たかもしれない。
藤井:普通の住宅でこの操作を行うと、以外とでこぼこせず、柱のところで壁の位置が合ってしまうが、サヴォア邸だからこの不思議な凹凸が生まれている。
萩原:ドミノシステムによって自由な平面が得られているからこそ、レイヤーがずれていく。そういう発見が出来る面白さはある。
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by enshu07 | 2007-12-27 22:36 | 第5課題
本橋 仁 ○○△
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吉村順三の軽井沢の山荘は、リビングが周辺の木のラインまで持ち上げられていることで、森と一体化したような空間を作っている。今回は、建築内部に様々なレベルの床面を作り、木をいろいろな方向から見ることで、さらに森の中に溶け込んだような建築空間をつくった。

萩原:人工的に見える森の作り方がよい。これは建築内部以外にももうひとつの断面、外部環境にも断面があるということを感じさせる。建築内部の断面と、外部の断面が呼応して新しい空間を形作る。この案はそれを発見しようとしていたのではないか。そこに気づいていれば、もう一つ先に進んだ表現ができたはず。
古谷:君の説明してくれたことは分かりやすいが、それは僕に言わせればそこまで。やはり次に進むためには、この案は、森にも断面がある、と言うべきだった。森の断面を空間的に分析できるように、球体の森がどこかの線で切断されている表現がなされていれば、素晴らしい表現になったのでは。
萩原:外の環境を取り入れたところで、他の案からは一歩出たのだが、その先がなかったのが惜しい。
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by enshu07 | 2007-12-27 22:33 | 第5課題
小野 ちれか ○○△

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建築において、平面のプランというのは論理的に構築することができるが、断面というものはどんなに論理的に構築しても、人間の行動空間に限界がある以上、特に機能を割り当てることのできない余白というものは必ず存在してしまうと思った。今回は、そうした余白を活かすために、鳥園というものを考え、人が行けない空間を鳥のアクティビティで埋めることで、鳥と人がともにいられる空間を作った。

藤井:人が行くことができないけれど感じることができる空間、とか、何となく見える、あるいは見えていないけれど鳥の音が聞こえることで感じられる空間など、見えない、行けないけれど感じることのできる空間はある。音で感じたり、光で感じたり、空間認知は人間の動作だけで行われるものではないはず。
古谷:空間はあるんだけど行けない、そういう空間の面白さを無くさないようコンセプトをもっと徹底して欲しかった。鳥の行く空間をもっともらしく網で作ってしまう必要はないと思う。
平本:役割の無い空間はあってはいけないという強迫観念があるのではないか。 理由を言えない空間はいやで、そういう空間を鳥で埋めたという話になってしまっている。
古谷:鳥は空間のメタファーとして面白い。鳥が消えていくことでその先にあるものが一段と妄想される。鳥は何を人間に作用させるか、それを考えてみると良い。この案は鳥が見え過ぎている。
藤井:例えば鳥の影だけが見えることで奥の空間が感じられるとか、人間の視覚だけで認知されず、空間と鳥と人間という3つの関係が合わさって初めて感じられる、そういう鳥かごのような空間があってもよい。
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by enshu07 | 2007-12-27 22:29 | 第5課題
伊坂 春 ○○△
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北海道のモエレ沼は、様々な大きさの凹凸があり、歩いていてとても心地よい空間だと思った。今回は、さまざまなスケールでモエレ沼の一部を取り出して 自分で凹凸を作り、それらを組み合わせて空間を作ることで、どんなスケールになっても心地よさを感じられるような空間を作った。

古谷:ある種の現存するモチーフを断面化して使ってみる、というのはひとつの手法としてある。その時に、大きさやスケール感も伸縮自在だと考え、使えないかとスタディを行ってみたのは良いと思う。
しかしモエレ沼からこの断面を抽出したとこにいささかのギャップがある。最初のトレース部分にコンセプトが欲しい。どの線を選びとるかというのを理論化して説明できると良い。
萩原:モエレ沼はものすごく巨大で人間の感覚が狂う。北海道自体がそういう土地だが、都市の中では体験できない異常な階段とかスロープの角度を綿密に調査し、それを再構成したというと良いかもしれない。
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by enshu07 | 2007-12-27 00:11 | 第5課題
山口 沙織 ○○△
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伊東豊雄のせんだいメディアテークは、平面的には単純な形をしているが、断面に見える木のような部分が光を通す仕組みになっているのが面白いと思った。今回はそれを極端に表現してみた。
また、この模型を裏側から巨視的に見たときに、上下がすっと繋がっていく連続感が面白いと思った。

古谷:メディアテークは、その、木とされる部分それ自体が構造体になっており、あの建築には柱がない。君のは柱があった上でこの管も通しているので、これでは建築の意図がずれてしまう。例えば4隅にこの管を配置するなどしてみると良かった。
萩原:伊東豊雄の初期スケッチでは、海藻のようなものが描かれていたはず。このようにせんだいメディアテークを肥大化させると、彼の原型のイメージが出てくるような気もした。しかしそれはそういう事情を知っていればのことで、この建築の成り立ちをもっと知ると良いと思う。
古谷:メディアテークのプランをいくつかに分割してみて、あの輪っかがズレた状態にすると何が出てくるかと試してみると良いかもしれない。
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by enshu07 | 2007-12-27 00:10 | 第5課題
第5課題 「断面で考える空間」
われわれはともすると平面図だけを頭に描いて建築を構想してしまいがちであるが、実際の建築空間においては、その「平面図」は不可視なものである。現実には立面や断面的なものが直接目に見え、空間として実感される。平面的なものは理性的に再構築されない限り抽象的なものであり、直感できない。多くの建築計画学がその対象として平面を取り上げるのは、学として論考するに当たって、対象から感性的なものを排除することで、論を客観化できるためである。
ここではしかし、あえて断面のなかに構築される論理を構想し、論理的なものが同時に直感によって感取可能な空間としてデザインされることを期待している。たとえば三仏寺投入堂や孤逢庵忘筌、ローマのパンテオンなどは、その平面以上にその断面がなくては空間の重要な特質を表現できない。現代の建築の中では劇場空間などがその最たるものかもしれない。
この課題では、規模は問わないが、具体的な機能を持つ(つまり象徴的なだけではない)空間を、専ら断面だけをエスキースすることを通してデザインし、断面上の論理を表現することとする。また、そこにできあがる空間を直感的に捉えられるようなドローイングやモデルなどを見せて欲しい。

中間提出物として、この課題の優れた実例と思われるものを取り上げて、その断面ドローイングを書き起こしたものを、あわせて提出する。
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by enshu07 | 2007-12-27 00:00